■重発

今年の九月で手術から五年が経過した。ガン摘出手術から五年間が再発のおそれある期間とされるが、それが何事もなく経過したのだから、いよいよ「釈放」されるなと思った。

この期間に、仕事の知り合いが二人同病で手術して、一人が今年の春、手術から四年目に逝った。一年前に会ったときは心配ないくらいの元気だったのに。

手術から五年間、再発どころか、三ヶ月月毎の検査で何事もなかったことから、先日の検査の折に主治医に、いつまで検査を続ける必要があるのか聞いてみた。即座に「一生」と言われてしまった。

五年の経過で「再発」のおそれは無くなったが、今後は「重発」の可能性があるという。同じ場所や転位による「再発」と異なり、まったく別な場所に発病するもので、二度目だから「重発」というらしい。

こんな話は初めて聞いたが、言われてみれば確かに有り得ないことではない。つまり、未だ発病したことの無い人と同じくらい発病の可能性があるということだ。だから主治医はこうも付けくわえた。病院の検査だけでなく、公共機関の健康診断など、検査の機会をなるべ多くしておいた方がいいと。

一生疫病神から釈放されることはないのだと悟ったことだった。